HOMEコラム経営・組織

不動産業界の人手不足 — 採用より先に「作業をAIに渡す」という解決策

公開 2026-07-27 / 最終更新 2026-07-27 / 読了目安 約6分 / 執筆 株式会社LogTech

不動産業界の人手不足は、「人を増やす」だけでは解決しにくくなっています。もう一つの選択肢が、反響対応・申込転記・書類作成などの定型作業をAIに渡し、業務量そのものを減らすことです。AIは辞めず、教育のやり直しも発生せず、業務量の波にも合わせやすい——採用活動と並行して「作業を減らす」側から手を打つのが、現実的な人手不足対策になりつつあります。

この記事では、不動産会社の現場に常駐してAI導入を支援している株式会社LogTechが、なぜ採用だけでは足りないのか、どの作業から減らすべきかを、実務の言葉で解説します。

なぜ採用だけでは人手不足が解決しないのか?

採用は必要です。ただ、採用「だけ」に頼る対策には構造的な弱点があります。

  • 採用しても業務量は減らない — 反響対応・物確電話・転記・報告書づくりの総量はそのままで、捌く人が増えるだけです。業務のやり方を変えない限り、成長すればまた足りなくなります。
  • 教育に既存メンバーの時間が取られる — 新しい人が戦力になるまでの間、一番忙しいベテランが教育役を兼ね、現場の処理能力は一時的にむしろ下がります。
  • 退職とともに投資が消える — 時間をかけて教えた業務知識は、退職すれば会社に残りません。教育をやり直すたびに同じコストが発生します。
  • 業務量の波と雇用が合わない — 繁忙期に合わせて人を確保すれば閑散期に余剰になり、閑散期に合わせれば繁忙期が回りません。雇用は業務量の波に合わせて増減できません。

そこで発想を裏返し、「人を業務量に合わせる」のではなく「業務量を人に合わせて減らす」のが、AIを使った人手不足対策です。

不動産の現場で人時間を消費している作業

結論:現場の時間を最も消費しているのは、接客や折衝ではなく、システムと書類の間で発生する転記・突合・電話・文書作成です。これらは人でなくても担える作業であり、AIに渡す第一候補です。

作業現場で起きていることAIに渡せる範囲
反響対応・追客 ポータル反響への返信が接客の合間に後回しになり、夜間・休日分は翌営業日まで放置される 一次返信・追客メールのドラフト作成(送信は人の承認後)
物確電話 空室確認の電話に人が張り付き、かける側も受ける側も時間を失う AI自動応答と空室データ連携で電話自体を減らす
入居申込の転記 手書き・FAX・Webと書式がバラバラの申込書を基幹システムへ手入力 読取・転記・突合まで。デモ実績では1件約30分→約2分
重説など書類の作成 調査・転記・体裁調整に半日単位の時間が消える 調査・構造化・ドラフト作成まで。当社実測では重説の調査・作成が約2時間→約30分(最終確認・説明は宅建士)
入金消込・オーナー報告 月末月初に照合と報告書づくりが集中し、他の業務が止まる 照合作業と報告書ドラフトの自動化(承認は人)

「作業を減らす」と「人を増やす」のコスト比較の考え方

金額の比較は業務量と地域によって変わるため、ここでは考え方だけを整理します。人を増やす場合のコストは、給与だけではありません。採用活動そのもの、戦力化までの教育期間、教える側の時間、マネジメントの負荷、そして退職リスク——業務量の波と関係なく続く固定的な負担です。

作業を減らす場合、業務の整理とAIの構築に初期の手間はかかりますが、構築後は件数の増減に合わせて動き、辞めず、教えた内容が消えません。判断の基準は「毎日くり返す定型作業が、月に何時間分あるか」です。時間×時給で自社の数字に置き換えると比較しやすくなります。削減時間シミュレーターで、業務ごとの件数から試算できます。

なお、「必ず採用より安くなる」と言うつもりはありません。定型作業がほとんどない業態なら、素直に採用が正解です。逆に、転記・突合・文書作成が業務の大半を占めているなら、先に作業を減らす方が合理的です。

AIに渡す業務の選び方

最初の1業務は、次の条件に多く当てはまるものから選びます。

  • 毎日・毎週くり返している — 頻度が高いほど、削減時間が積み上がります。
  • 手順を人に説明できる — 「こう来たらこうする」と言える業務は、AIにも渡せます。
  • 件数が多く、波がある — 繁忙期に破綻しやすい業務ほど、平準化の効果が出ます。
  • ミスの影響が大きい — 転記ミスが契約トラブルに直結する業務は、突合チェックまで含めて自動化する価値があります。
  • 担当者が消耗している — 採用しても定着しない部署の作業は、そもそも人がやり続ける前提を疑う余地があります。

自社のどの業務が候補になるかは、10問1分のAI化余地診断で目安を掴めます。

属人化も同時に解消できる理由

作業をAIに渡すには、その業務の手順と判断基準を言語化する必要があります。実はこの言語化こそ、属人化解消で最も難しい部分です。つまりAI導入の過程は、「あの人しかできない業務」を仕組みに変えるプロセスをそのまま含んでいます。

仕組みに移した業務は、担当者が休んでも退職しても止まりません。人手不足対策として見ると、AIは「作業量を減らす」と同時に「一人の離脱で現場が崩れるリスクを下げる」という二重の効きかたをします。詳しくは属人化の解消 — 暗黙知を仕組みに変える手順で解説しています。

導入の進め方

  1. 現状把握 — 誰が・どの作業に・どれだけ時間を使っているかを棚卸しします。当社の支援では現場に常駐して業務フローを言語化するところから始めます(PHASE 01)。
  2. 1業務から小さく試す — 効果が測りやすい定型作業を1つ選び、既存の基幹システム・ポータルはそのままに、御社仕様のAIを構築して試します(PHASE 02)。
  3. 数字で検証する — 導入前後の処理時間と修正量を確認し、広げるかどうかを判断します。
  4. 運用に定着させる — 承認フローと手順を整え、保守・改善まで含めて運用を回します(PHASE 03)。

よくある質問

AIを導入すると社員の仕事はなくなりますか?

なくなりません。AIに渡すのは転記・突合・一次対応・書類ドラフトといった「作業」であり、接客・交渉・家主折衝・重要事項説明などの判断と対人業務は人に残ります。人手不足の現場では「仕事を奪う」よりむしろ「回らなかった仕事が回るようになる」効果が先に来ます。

採用とAI導入は、どちらを先にすべきですか?

両立するものですが、先に作業を減らしておくと採用の要件が明確になります。定型作業をAIに渡した後に残るのは接客・折衝の仕事なので、「事務も営業も何でもできる人」ではなく、対人業務に強い人を探せばよくなり、新しく入った人が定型作業の習得に費やす期間も短くなります。

ITに詳しい社員がいなくても導入できますか?

可能です。当社の支援は、現場に常駐して業務を理解するところから、その会社仕様のAI開発、運用定着・一部BPOまでを伴走する形です。社内にIT担当を置くことは前提にしていません。

効果はどのくらい見込めますか?

業務と件数によって異なります。参考値として、当社の実測・デモ実績では重要事項説明書の調査・作成が約2時間から約30分(自社実測)、入居申込1件の読取・転記・突合が約30分から約2分(デモ実績)になりました。自社の件数での試算は削減時間シミュレーターをご利用ください。

費用はどのくらいかかりますか?

一律の料金表ではなく、無料の現場診断で業務量を確認したうえで業務量ベースでお見積りします。料金水準は一般的なコンサルティング比で約4分の1です。

まとめ

人手不足の正体は「人が足りない」であると同時に、「人でなくてもよい作業に人の時間が使われている」ことでもあります。採用をやめる必要はありません。ただ、その前に転記・突合・一次対応・文書作成をAIに渡して業務量を減らせば、いま居るメンバーで回る範囲が広がり、採用は「対人の仕事に強い人」に絞って行えるようになります。自社のどの作業から減らせるか知りたい方は、無料オンライン相談(30分)をご利用ください。無料の現場診断では、業務フローと削減余地をレポートにしてお渡しします。

本記事の実測値・デモ実績は株式会社LogTechの測定によるものです。効果は業務・書式・運用体制によって変わります。

関連記事

「経営・組織」の他の記事

無料現場診断を申し込む →